水無瀬翔



<作品紹介>

“しかし人間というものは、ましてや小説の作中人物というものは、他に類のない追随しえない存在と定義されるのではあるまいか? では、ある人格Aに観察された仕草、その人格と一体をなし、その人格を特徴づけ、その独得の魅力をつくりだしていたあの仕草が、同時にある人格Bの本質であり、その人格についての私のすべての夢想の本質だということが、いったいどうしてありうるのか? これは熟考を要することである。 われらの地球が八百億近くの人間が通過するのを見てきたにしても、彼らがそれぞれ各自固有の仕草のリストをもっていたことなどありそうにない。算術的に、それは考えられない。この世には、個人の数より仕草の数のほうが少ないことは明白である。そこでわれわれは不快な結論に導かれる。つまり、仕草のほうが個人そのものよりも個性的なのだ。それを諺のかたちで言うと、人多けれど、仕草少なし。” ―ミラン・クンデラ『不滅』(菅野昭正訳、集英社文庫、p.14)

これはミラン・クンデラの不滅という小説の仕草に関する記述である。 この小説の主人公アニェスは、“イヴがアダムの肋骨から出てきたのと同じく、ヴィーナスが泡から生まれたのと同じく、彼女は六十代の婦人のある仕草からふと現れた”のであるが、今回展示する作品もまたとある仕草から生まれたものであり、別の言い方をすれば、とある仕草の引用で構成されているものであり、事である。


<作家紹介>

水無瀬 翔 MINASE Sho

1984 京都府生まれ
2009 京都市立芸術大学構想設計専攻卒業

主な展覧会

2009
京都市立芸術大学学内展、京都市立芸術大学、京都/同窓会賞

2008
前期展、京都市立芸術大学、京都
京都市立芸術大学作品展、京都市美術館、京都

2007
後期展、京都市立芸術大学、京都
前期展、京都市立芸術大学、京都
京都市立芸術大学作品展、京都市美術館、京都

2006
後期展、京都市立芸術大学、京都
charisma blue、京都市立芸術大学、京都
京都市立芸術大学作品展、京都市美術館別館、京都

展示風景I/F - 展示風景はこちらよりご覧頂けます。